2007年1月20日土曜日

マニアじゃないってば その3

では、もう一冊の方についても言い訳(?)を。


墜落遺体―御巣鷹山の日航機123便
著者: 飯塚 訓
出版: 講談社(文庫)


で、この本を私が「読みたい」といった動機ですが…


事故が発生した1985年8月12日の夕方(多分4時~5時半の間)に、私は墜落現場から直線距離で、わずか10数キロ離れた山の中にいたのです。
その時に、日航機の墜落した音を聞きました。
遠雷でもなく、ヘリでも飛行機のエンジン音でもない、深く、地中に突き刺さるような、ドーンという音。今でもはっきりと覚えています。一緒に釣りに連れて行ってくれていた叔父が、「雷かな?」と言ったのに対し、私は「飛行機じゃない?」と答えました。

あまり深く考えもせず口をついて出た言葉です。
明らかにエンジン音とは違うのに。

その後、私の滞在していた村は、いつもの村とは違った様相になりました。
押し寄せる報道陣のワゴン車。あちこちに駐車している自衛隊のジープ。電話もなかなか通じず、村のお店には殆ど物がなくなり、叔父も大好きな釣りどころではなく…。
張り詰めた大人たちの異様な空気が漂い、子供心に怖いと感じたのを思い出します。
あの夏休みのことは忘れられません。

こんな体験から、事故の舞台裏を知りたいという事と、自分の記憶も風化させたくないという気持ちがあり、「読みたい」との発言に至ったわけです。

一瞬にして520人の命が奪われた、日本航空史上最大の事故。
これは、その事故で遺体判別作業の指揮を取られた方の記録です。
当時の惨状が目に浮かぶような描写で、読むのにためらう箇所もあるでしょうが、事件の記憶を風化させないためにも、是非、多くの人に読んでほしいと思います。

犠牲になった520人のために奮闘した方々の、決して風化させてはいけない記録。
読んでいて辛く、胸が痛くなる内容も多いのですが、目をそむけずに、真正面から受け止めなければならないと感じました。